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良かった(笑)。でも、そうですね、自分の世界観に“染めよう”と持って行く人もいますが、軸の世界観が合っていれば大きくズレませんから、染めようとする必要も、相手に寄せて行く必要もないと、僕は思っています。そういう意味でも、星野さんとの仕事は楽しかったです。星野さんはいろいろなことにすごくこだわりを持っているのに、それを押し付けてこない懐の深さを感じて、信頼されて任されていると感じられたのも、楽しく仕事ができた大きな理由だったと思います。
星野 世界観・感性・思考・センス……そういったものが合う人たちと仕事をすることは、僕の中でとても重要なファクター。それをもっと突き詰めて行くために、新事務所移転を決めたんですよ。
日内地 僕も最近、センスの合う職人さんたちと継続して仕事をすることの面白さを実感しているところです。「阿吽の呼吸」という感覚は大事だなと。

“こだわり”はあるけれど、実際はどうでもいい。

星野 日内地さんは、僕のことを「とても“こだわり”」があると言いますけど、僕と日内地さんの“こだわり”の定義というか感覚は、たぶん近いと思います。
日内地 一緒に仕事をさせていただいて、僕も感じました。“こだわり”はあるけれど、実はそんなものはどうでもいいものだと思っていて、自分が好きなものが好き、というだけなんですよね。いえ、自分にとってはどうでもよくないんですけど(笑)、他の人にとってはどうでもいいことだと思うんです。実際、ブランドとか値段ではなくて、見た目でピピッと来たものが好きなものだったりするので。それが安くても、高くても、ブランドものでも、そうでなくても、僕が好きと思ったら僕にとって「いいもの」になる。それを人に押し付けようとは思いません。
星野 その感覚、分かります。押し付けたらお互いが幸せじゃなくなってしまうし、仕事だったらWin-Winの関係ではなくなってしまう。“こだわり”と言葉にするとすごくわがままで、自分勝手なイメージが強いけれど、そうあるべきではないと思います。“こだわり”は自分が好きだというだけのもの。でも、それがあるから迷わずチョイスできる。仕事でもプライベートでも、ブレないから“こだわり”がある人だと言われるのだと思います。
日内地 自分の“こだわり”に対して琴線に触れた人たちが、集まってくる、ファンになってくれる。それが一番素晴らしいと思いますけど、仕事となるとそうもいかないことも多いですよね。
星野 それは僕たちのような仕事をしていると、誰もが抱えるジレンマです。
日内地 でもそれを実現するための、新事務所だったわけですよね。新たなスタートラインに関われたことに、改めてうれしく思います。

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