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惹かれて行くようになって、気づいたら店の空気感が僕にストレスがないようなものになっていたんですよね。先ほど、自分の感性に染めようとは思わないと言いましたけど、お店に来てもらえるようにではなく、いつの間にか「この空気感を好きな人、分かってくれる人に来てほしい」というような感覚になっていたのかもしれません。今の僕は“常に素であること”を前提に、物や方向性をチョイスしています。
星野 そもそもカフェを作ったのはどういう理由が?
日内地 カフェをやりたかった、というのもあるのですが、「アパートメントストア」で売っているインテリアをただの家具にしないため、とでも言うのでしょうか……。昭和レトロの家具や雑貨って単体で見ても確かにおしゃれで、気に入っていただけることが多いんです。ですが、家に持って行って配置すると、おしゃれ感がなくなって、一気にその空間がただの“実家”になってしまうという残念なことになりがちなんです。有名建築家の建てた家でもインテリアがチグハグで残念な家になってしまうというのと同じ。それってやはり、センスの一言に尽きると思うんです。だから、家具と空間が調和した「アパートメントスト

素の自分であることがすべてのベース。

星野 「アパートメントストア」さんは、最初、雑貨屋さんからのスタートでしたよね。それが3階建ての自社ビルを持ち、カフェやリノベーションまで手がけるようになったのには、どんないきさつがあったんですか。
日内地 元々、「D&DEPARTMENT PROJECT」に憧れて、“お店のアパート”になることを目指していましたから、雑貨屋で終わるつもりはありませんでした。自分の感性を提案していったら、カフェとリノベーションという仕事がついてきた、という感じです。
星野 日内地さんがどうやって提案して行ったのか、興味深いです。
日内地 提案と言っても、お店の中で空間を提案していったんです。10年前に昭和レトロをテーマに店をスタートしたわけですけど、徐々に味のあるものに

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