ア」スタイルの昭和レトロをカフェで表現したんです。こういう空間だからインテリアがおしゃれに見えるんです、と。 星野 空間というのは大切ですよね。それでますます日内地さんの感性に共鳴した人たちが集まるようになるし、家具や雑貨の売り増も見込める。 日内地 もちろん、そういう意図もありましたが「カフェを始めたい人、手作りでやれますよ」っていう「僕たちこんなこともできるんです」というのを見せて、自分たちがお店作りを手伝いますという仕事を広げようという意図もありました。そうしたら、手作りどころか、自分のキャパを超えるリノベーションの話が来てしまって、そのときは大風呂敷を広げた自分を一瞬後悔しました(笑)。 星野 それが、今ではリノベーションが主な仕事のようになっていますよね。 日内地 はい。キャパを超えたらそこは無理すべきじゃない。自分がやりたいと思っても、能力や時間に限界はありあますからね。それ以降、工務店や職人さんとチームを組んで仕事をするようになりました。そうすると、本当に自分のやりたかったことができるようになったり、次のステップに時間を割いたりできるようになって、今、かなり楽しいです。素の自分でいられることがすべてのベースだというのも、再認識できました。
下請けからの脱却が成功のカギ。
星野 最初はカフェ。自社ビルを購入して自分の手でリノベーション、そしてカフェのオープンをきっかけにリノベーションも手がけ。着々と夢を膨らませている訳ですけど、成功のカギは何だと思いますか? 日内地 誰でもできることが出来きる状態に満足しないこと。それではただの“下請け”仕事なんですよ。けれど、それでは生き残っていけないんです。自分がやりたいことを実現するには、提案できなければ成し得ないと思います。もちろん、“下請け”に成らざるを得ない時期だってあると思いますが、それに追われ続けるだけでは生き残ることさえできない。それに気づいて、抜け出したものが生き残って行く。僕と星野さんは、抜け出すためのモチベーションが、“複合的にやっていく”考え方だったということなんでしょうね。 星野 もちろん、ベースのグラフィックデザインがレベルアップしていくことに一番力をそそぐけれど。土台がぐらついたり先細ったら、複合的にやっていくことなんかできないし、生き残るどころか自滅してしまいますからね。 日内地 それは同感です。ベースは何であるかは、僕も常々忘れないように心がけています。もちろん「素である自分」です(笑)。
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