機能性を重視した布地選びとデザインが、
最終的にカッコよさを追求した形に
星野 布地選びと同時に重視したのは、機能的なデザイン。外ポケットと内側の布が洗えるように取り外し可能にする機能は、マストでしたね。
後藤かなりこだわりがありましたよね。僕はバッグを作るとき、構造という建築の概念を必ずデザインに取り入れるようにしています。ですから、ここでも星野さんの思考に共感できました。外ポケットの機能とデザインはこだわり抜いた結果、かなりおしゃれになって驚きました(笑)。
星野ポケットの出し入れ口って、上部にしかついていないものが多いですけど、外ポケットだったら横からも出し入れできた方が、絶対に便利だと思うんですよ。だから上と横にファスナーをつけてもらったんですけど……想像以上にカッコいいデザインに(笑)。
後藤これもセッションの力ですよね。星野さんの思考と僕の理論がセッションすることにより、「想像を超える」新しいデザインが生まれた、ということだと思います。
星野やはりプロセスが大事ですよね。今回は上履き入れという普遍的なデザイン、機能、布地にこだわった結果、カッコイイデザインを追求した形になりました。いいデザインはプロセスなくしては生まれないと、改めて実感しました。
後藤同感です。あと、僕がさらに再認識したのは、プロセスの中にはストーリーが必ずあるということです。建築を学ぶカリキュラムの中には歴史があるのですが、その建築物が建てられた時代背景などストーリーを知ることで、「なぜその形になったのか」より理解が深まりますし、何よりドラマティック。ものづくりやデザインにストーリーがあれば、いいデザインになりますし、見ている人により興味を持ってもらえるものになります。
星野すごく分かります。先ほど後藤さんが、最終的な形を目指すのではなく、プロセスを大切にすることが形を作ると言っていましたが、まさに、そういうことなんでしょう