Session2-05

“お店のアパート”をつくりたい

「25歳なら失敗しても何とかなる」と思えた。

星野 日内地さんも、自分のやりたいことを実現するために「アパートメントストア」を始めたんじゃないですか? 
日内地 ざっくり言うと、おっしゃる通りです。でもやりたいことを見つけるまではフラフラしていましたね。37歳になって振り返ると、よくもまあ、という感じです(笑)。家具職人になりたくて、高校卒業と同時に東京へ出て修行していたのですが、疲れて山に引きこもったんですよ。20〜24歳まで長野で住み込みのアルバイトをしていました。
星野 それはまた、今からは想像できない。
日内地 ですよね(笑)。25歳になって再び東京に戻って洋服屋に勤めているとき、家具のバイヤーになりたいと思っていたんですね。でもそのときに先輩から聞かされたのは「10年以上現場で経験を積まなければバイヤーにはなれない」という、いわゆる会社の慣例みたいなもの。「10年って言ったら、35歳じゃん!」と思ったら、浜松に戻って店をオープンすることしか考えられませんでした。「25歳なら失敗しても人生先は長い。何とかなるでしょ」って。
星野 勢いって大事だと思いますよ。無謀と勢いを一緒にされてしまうこともありますけど、日内地さんのは“勢い”。ジャンプするために勢いをつけるでしょう?そのときに足下がグラグラじゃ飛べないのと一緒で、下地も計画性もなければ勢いで動くことはできなと思いますから。
日内地 それはどうでしょう?今、商売を続けていられるから結果論な気もしますけど、ありがとうございます。でも、そうですね、目指したいものはありました。「D&DEPARTMENT PROJECT」の本との出会いは、僕のターニングポイントになりました。

「一生の仕事になる」と思えたから今がある。

星野 日内地さんが立ち上げたショップ「アパートメントストア」の名前の由来になっていると、以前聞いた覚えがあります。
日内地 「D&DEPARTMENT PROJECT」は僕の憧れ、やりたいことがそのまま実現されていると思いました。「アパートメントストア」を始めた当初から、複合的にいろいろやってみたいという夢が膨らんでいって、 “お店のアパート”のようなショップづくりを目指すようになりました。