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普遍的なデザインがベースにあるからこそ、
新しい“デザイン”が生まれる。

星野 肩書きは違っても“デザイン”に対する感性に共感できるので、後藤さんと一緒に仕事をしたら絶対に楽しいし、他にはないバッグができると思いました。
後藤最初の打ち合わせからどんどんアイディアが溢れてきて、あっという間にバッグのイメージデザインが上がっていきましたよね。それにしても「カッコイイ上履き入れを作りたい」と言われたときは、星野さんの着眼点というか、柔軟な思考センスに感動しました。
星野子どもがいなかったら、上履き入れに着目しなかったかもしれません。誰もが知っていて、使ったことがある上履き入れのデザインは、持ち手や形状など、一目で「上履き入れだ!」と分かる普遍的なデザインをしていますよね。ここに僕たちのデザインを入れたら、どんなバッグになるのか、ちょっと実験してみたくて、後藤さんに打診したわけです。
後藤普遍的なデザインをベースにするというのは、建築の現場でも同じです。建築の勉強をしている人が歴史ある建築物を見に行くのは、普遍的に愛されるデザインを知るため

なんです。その意味を教えてくれたのは、僕が大学院で学ばせていただいたビライ先生。先生は僕らに課題を与える際、いつも「形には必ず意味がある。なぜその形にするのかを意識しなさい」と言っていました。この言葉は、今も僕の思考のベースになっています。
星野その言葉、僕も今、すごく感銘を受けました。上履き入れという普遍的なデザインを残さなければ、ただのバッグになってしまう。それでは意味がないんです。
後藤形に意味がある、ということですよね。一目で上履き入れだと分かるけど、すごくおしゃれなバッグ。子どもが上履き入れとして使っても、大人がファッションに取り入れても様になる。そんなバッグに仕上がったと思います。

     最終形を目指すのではなく、プロセスを大切にしてこそ形が見えてくる。

星野打ち合わせを重ねる度に、どんどんカッコイイデザインになっていくから、毎回新鮮なワクワク感がありました。自分だけで考えていたら、絶対にこのデザインにならなかったと思います。
後藤僕も同じです。セッションして作り上げて行くことの楽しさ、想像力が広がっていくことのワクワク感が持続していて、本当に楽しかったです。そんな中でも、星野さんの