ネイチャーガイドは元小学校の先生
「体力の限界」で「惜しまれつつ」辞めた?!
星野 着々と北海道移住計画を進めたわけだ(笑)。実際、先生って職業はどうだったの?向いてると思った?
田中向いてたと思う。何より、先生という職業が好きだった。嫌になったから辞めたわけじゃないしね。もっとやりたいことができてしまったから。あとは、タイミングかな。ほら、よくスポーツ選手が体力の限界を感じて引退するって言うでしょ?俺もそれ、感じたんだよね。とにかく子どもと触れ合って、本気で遊んでなんぼだというタイプの先生だったから、30過ぎたあたりからヤバいなと。
星野ええっ!早くないか?
田中いや、そう言うけど、6年生の男子と本気でサッカーやったら、結構キツいよ?それで、あるとき、ああ限界だなと。もちろん、別の方法で子どもたちと新しい信頼関係を築く道もあったけど、俺の先生像はそこにはなかったんだよね。だから、文字通り体力の
限界を感じたとき、キッパリ辞めようと思えた。
星野自分の先生像が貫けないからなんて、カッコイイじゃん。
田中そうでしょ?それに、ほら、スポーツ選手の引退記事は「惜しまれつつ」っていうのが定石じゃない。だから俺も、子どもたちから「辞めないで!」って、「惜しまれつつ」と言われるタイミングで辞めたいなと(笑)。
星野それが事実だったら、相当ドラマティックだけどね(笑)。でも、子どもたちに慕われていただろうから、似たような感じだったと想像できるよ。
ネイチャーガイド“田中スタイル”の確立
田中そのときは、他にもやりたいことがいくつかあったんだけど、教職を越える情熱を傾けられるのはネイチャーガイドしかないなって。スティーブ・ジョブズの言葉に「新しいことを始めるときに一番大切なことは、それを成し遂げたいという情熱です」という言葉があったけど、まさにそれ。せっかく北海道にいるんだから、この大自然の中で仕事をしてみたかったし、何かを伝えるネイチャーガイドは教師と共通する部分がある。これまでのキャリアが生かせると思った。