星野初夏とか夏にもう1回来たいなー。そのとき感じるのは冒険心な気がする。同じ場所で感じるものが違うかもと思えるのも、季節を変えてリピートしたいと思えるもうひとつの理由かもね。

自然の中で心を癒す、ガイドとの会話で心がまるくなる。

田中さあ、次は知床。流氷が見える岬まで40分。歩くよ!
星野世界遺産に来るのは初めて。ワクワクするね。動物にも会えるかな。
田中遭遇率は高いね。エゾシカ、キタキツネ、エゾリス、モモンガ、シマフクロウ、オオワシ……いろいろいるけど、冬眠中のヒグマと夜行性以外の動物なら会えるかもね。あ、ほら、足跡が残ってる。これは、エゾシカだね。
星野近くにいる?
田中ちょっと時間が経ってるから、残念ながら。でも、こうやって足跡があるってことは、確実にいるから探しながら行こう。
星野お客さんとは、ガイドとしての会話以外にどんな話をすることが多い?
田中いろいろ。悩み事とか仕事の愚痴とか、初めて会う人間でその人の環境とか知らない人だから、逆に話しやすいのかなって思う。自然の中にいるって状況も、心の中を吐露しやすくしているのかもしれないけど。心が穏やかになってくれるなら、北海道の大自然と一緒に受け止めたいと思う。
星野田中って、懐広いよな。人間、できてる。
田中いや、できてなんかいないよ。職業を取り巻く環境と年齢による経験値が、心の余裕っていうの?そういうのを持たせてくれたんだと思う。
星野カウンセラーっぽいね。大自然は時としてそういう役目をすると思うけど、田中もそういう役目を担ってるんだと思う。何かさ、声のトーンとかスピードとか、自然の中で聞くとすごい心地いいなと、今思った。
田中そうだったら、うれしい。
星野小学校の先生をやってたことだし、寺子屋みたいなこともやれるんじゃない?心を閉ざしてる子どものリハビリとかさ。
田中そういう話も時々もらう。子どもを預けたいんですって。でも、小学校の先生とは違うし、ましてや大人相手とも違う。ひとりの子どもの、下手したらこの先の人生を背負うってことだと思うんだよね。そんなに深く考えなくてもいいと言われるけど、俺はそうは思わない。
星野そうやって真摯に考える田中だから、やれるんじゃない?
田中うん。ありがとう。将来的に、やれる環境が整ったら考えるかもしれない。今俺ができることは、来てくれるお客さんを楽しませること。その延長上