本能で選んだ香りは今の自分が持つ魅力。

沙里あはは!クローブ!先ほど星野さんが席を外した際、もしかしたら星野さんはクローブの香りが好きかもしれないと聞いていたんです。先日、お料理の撮影をされた際、八角やクローブなどの香辛料の香りを「いい匂い」だと言っていたとか。だから、もしかしたらと。それに、私もベースの香りの中に入れようと思っていた香りだったんです。けれど、かなり個性の強い香りですし、ここは星野さんの感性に委ねようかな、と思っていたのに、やっぱりチョイスしてしまったんですね(笑)。
星野うーん、でも、気になるけど、好きってわけじゃない。でもすごく気になって、意識的にチョイスさせられているという感覚。だからあえて入れてみようと。これは絶対外してほしくない。
沙里さんを悩ませておいて何ですけど、僕は難しい方をチョイスする習性を持っているみたいなんです。今までも、与えられた道やすんなりいける道は選んで来なかったんですよ。Rock的反骨精神というか・・・。それが遠回りになっても、自分で切り開きたいという気持ちが常にあって。ファッションに例えると、これは絶対自分に似合うという服よりも、これはちょっと難しい冒険かなという服をチョイスして、着こなすための方向性を探る。クローブの香りをチョイスしたのも、同じ理由。

 

     

沙里あ、その感覚、すごく分かります。香りの道へ進もうと思ったとき、資格をとるのはとても難しいと聞いていましたが、遠回りをすることになってもあえて挑戦する道を選びました。私はクローブの香りが大好きなんですけど、クローブってそういう、チャレンジする方が好む香りなんですよね。 
星野なるほどね。この香りの個性は伊達じゃないってことですか。
沙里香りって、自分の確認のようなことができるものだと感じていて、檜の葉と幹の香りも、クローブの香りも同じです。星野さんはいつも単純じゃない方を選ぶと言っていましたが、まさにクローブってそういう性質があるんです。
星野クローブは何か、訴えかけてくるものはありましたね。バニラ、好き。檜の葉、好き。クローブ、面白いな。という感じで。 
沙里香りの前では嘘はつけないと、私は常々思っています。すごく疲れていて今すぐ寝たいと思っている人が、檜の葉の香りを選んだら、まだエネルギーが残っているんだと分かる、とか。香りは直接本能に訴えかける五感のひとつなので、思考を飛び越えていきますよね。
星野クローブの話を聞いて、本能に訴える香りは“生き様”を表すんじゃないかと思いました。香り、面白いですね。