ドの『N4』を立ち上げるとか、自分でものづくりをするというイメージは、当初全く持っていませんでした。
星野方向転換のきっかけは?
栗田月に2〜3回、アメリカに買い付けに行っていたのですが、ヴィンテージもの自体の絶対数が少なくなったり、値段が高騰しすぎたり。当時爆発的に人気が出てしまったという経緯もあるのですが、そういった事情で100%の買い付けで商品構成するのが難しくなったというのが理由のひとつにあります。あとは時代の流れでしょうか。少しずつ国内の業者さんとの取引が増えていったのが、転換期だったと思います。
星野方向転換というのは、大きな決断だと思いますし、難しい選択を迫られることも多い。勇気がいったと思いますが。 
栗田確かに、それはありました。けれど、考えすぎると動けなくなってしまう。僕はそれが嫌だなと。動かずに後悔するより、動いて失敗して、反省して、それを生かす方が建設的だし、確実に前に進める。大切なのは、動かなくてはいけないとき、動くと決断すること。瞬発力だと思っています。
星野その思考が今につながっているわけですね。
栗田それが本当に良いかどうかは、人それぞれ、そのときどきだと思いますが、僕はこれで後悔したことはないです。後悔という言葉は、動かなかったときにあるものかなと、何となく、そう思います。

価値観と感性の投合がファンを生む

価値を知ってもらうことが差別化の第一歩。

星野京都の本店には初めて来ましたけど、3階それぞれが個別のセレクトショップになっているという、ファッションのデパートというイメージを受けました。
栗田そうですね。ひとつのビルにいくつかのセレクトショップが入っているというイメージです。ビル自体は『ブロック』という名前で、1階に『MINDTRIVE』『EMⅠ』『ATTACHMENT KYOTO』、2階に『KURO KYOTO』、3階に『EMⅡ』というそれぞれ、違うブランドを扱うセレクトショップが入っています。
星野人々の趣味嗜好が細分化していく中、この形はすごく興味深いなと思いました。ファストファッションが台頭してきて、こういったブランドを扱うショップや路面店が苦戦していると聞きますが、栗田さんの展開するショップでは、そういう印象は受けませんね。
栗田ウチのような店が、押されているという評価は合っているようでいて、少し違っていて、差別化されてきたということだと思います。アイテムをセレクトするときに、価値を見つけることも重要な要素で、その価値を知っていただいてファンになっていただく。これから生き残っていく店は、いかにファンを作るかというところにあると思います。