ターゲットとなる年代やさまざまな趣味嗜好に合わせてフロアや扱うブランドを分けて展開をしていますが、万人には受け入れられるとは思っていません。ですから、特別広くアプローチするということはせず、ウチのセレクトが好きだと感じてくださるお客様にターゲットを絞っています。でもそれで良いと思っています。若いうちは興味がなかったり好みではなかったりしても、何かのきっかけや、年齢を重ねていくうちに、興味を持ってくれたらうれしいなと。価値観と感性って育まれていくものだと思うので、それが分かって共感できると感じてもらえたときが、差別化されたという証。そうやってファンは増えていくものだと思っています。

セレクトの定義は「オンリーワン」であること。

星野   服をセレクトする際に、指針としているものはあるんですか?
栗田 セレクトの一番のポイントは、自分たちが着たいもの。例えば、僕的にはアメカジの古着やリメイクものがあってもOKなんです。重要なのは “『GADGET』っぽい”セレクトであること。趣味嗜好が多様化しているので、万人に合わせるのは難しい。けれど、店に来てくださるお客様は、この店の雰囲気とかセレクトされている服の雰囲気とか、スタッフの雰囲気とか、そういった“『GADGET』っぽい”雰囲気が好きだと言ってくださる。だから、言葉で「これをセレクトするべき」という定義は必要ないのかなと。ショップスタッフも“『GADGET』っぽい”雰囲気が好きで働いていると思いますし、そういうスタッフが好きなものをセレクトしたアイテムであれば、お客様にも共感していただけると思うので。
星野 そう言えば、スタッフの皆さん、栗田さんと雰囲気が似ていますよね(笑)。だから好きなものも似ているのかなと感じます。
栗田 そうかもしれません。好きなものが共感できるというのは、一緒にやっていく上で大切だと思います。
星野 僕もその感覚は大切にしています。事務所のデザイナーはもちろんですが、一緒にチームを組んで仕事をする仲間を選ぶとき、これがカッコイイと感じる感性が同じであることは、クオリティの高い仕事をするためには不可欠な要素。
栗田 そこがはまっていると、ブレないですよね。いろんな方に知ってもらいたいと思いますが、やはりその人のためにある「オンリーワン」であるセレクトをしたいと常々思っています。
星野 クライアントさんがこだわっている部分を最大限に表現して、そこに共感してくれる人に響くこと。僕のデザインもそうありたいと思っています。